3次元
3次元ビーム要素は、構造物の挙動を表すために広く使用されています。 橋やビル、回転翼、
自動車の部品などの細長い構造物は、まずビーム要素としてモデル化されることが多いです。
しかし、その細長い形状ゆえに、座屈によって不安定になりがちであり、座屈および座屈後の応答に
注意して 解析をしなくてはなりません。
今回の ニュースでは、図1.に示すような梁の中央に集中荷重を受ける梁の座屈解析に焦点
を当てます。 1つめの解析は図2aに示す断面(2軸対称I型断面)、2つめの解析では図2bに示す断面(1軸対称I型断面)を使用しています。
これらの薄肉開口断面は、実際にビルの建設に使用される鋼材の梁にも使われ、複雑な構造をビー
ム要素としてモデル化することになるでしょう。
特に図2bの断面は、橋や自動車の重要な荷重を支える部品のモデル化に使用されることもあります。
梁の座屈および大変形の座屈後の応答解析はとても興味深いです。
ねじれを含むビームの横座屈を正確に捉えることが鍵になります。
この 横方向の不安定性は荷重がある一定レベルを越えると起こります。
x軸周りでねじるとき、x-y平面外にビームが曲げる面外変形と比較すると、x-y平面のさらなる曲げは
エネルギー的に好ましくなくなるので横方向に不安定が生じます。
図1. ビーム問題の概要
(a) 解析1の断面(2軸対称I型断面)
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(b) 解析2の断面(1軸対称I型断面)
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図2. 図
1.のビームの断面
ADINA 8.6で使用できるワーピング効果を含む、エルミートビーム要素を20個の要素でモデル化しました。
2つの支持点にx回転を拘束する境界条件を与えています。 その他の回転はフリーで、右の支持点のx
方向の変位以外全方向の変位は拘束されています。
両端点のワーピング変位はフリーです。 異なる断面形状を使用した両方の解析で、次の2つの荷重条
件を与えています :集中荷重は一旦上方向にかけられ、次に下方向にかけられます。
ぱっと見たとき、両断面のビーム要素とも、荷重の方向によって、座屈荷重の絶対値に変わりないように見
えますが、"ねじり"が発生しています。
下の図3から図 5に示すのは、図2aの2軸対称I型断面のビーム要素を計算した応答です。
ビームは、最初はx-y平面だけで曲げられますが、荷重がP=135kNを越えてからは、
平面外でX軸まわりにねじりが入ります。
予測できる事ですが、ビームの上向き荷重の応答は、変位の符号以外は下向き荷重と同じように示され
ます。
図3. 2軸対称I型断面のビーム要素の 荷重 - 下方向荷重
図4. 2軸対称I型断面のビーム要素の 荷重 - Z変位
図5. 2軸対称I型断面のビーム要素の 荷重 - X回転
下の 図6から8に示すビーム要素は、図2bに示す1軸対称I型断面のビーム要素の応答です。
興味深い現象、つまり荷重の負荷方向に強く依存する座屈、および座屈後の挙動が確認できます。
荷重が下向き荷重の時、上側のフランジが圧縮されます。上のフランジは下のフランジよりも大き
いため、
上向き荷重のときよりも座屈荷重は高くなります。
荷重に 依存する現象を正確に予測するためには、ビームの定式化に、特にワグナー効果のようなワーピング
に
関する全ての運動力学的非線形性を含む必要があります。
図6. 図2bの1軸対称I型断面のビームの 荷重 - y変位
図7. 図2bの1軸対称I型断面のビームの 荷重 - z変位
図8. 図2bの1軸対称I型断面のビームの 荷重 - x回転
図6から
8とこのページ頭の動画には、MITC4シェル要素でモデル化したビームの応答結果も示しています。
シェル要素の応答とビーム要素の応答が近いことが確認できました。
このビーム要素はさまざまな 種類のビーム構造
のモデル化
に使用できます。実際、複雑なモデルをビームとしてモデル化できます。 この要素は一般的なI型、L型、チ
ャンネル型の弾性断面にて、
一般的な線形、大変形非線形解析に使用できます。 多くのタイプの解析にビーム要素が有用であるというこ
とは特筆す
べきことです。
キー
ワード :
薄肉開口断面ビーム、ワーピング、ワグナー効果、曲げ-ねじれ連成、横座屈、大変形、安定性、鋼構造
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