異なる材料のシェ
ル層で構成され、また熱の影響が重要となるような解析は数多くあります。
熱変化や勾配が大きくなる場合には、シェルの複雑な挙動とともに、非常に大きな変形が起こります。
ADINAは
このような問題に対しパワフルなツールです。
今回は、積層シェル構造における非線形の熱-構造連成解析を紹介します。
円筒形の積層シェルはエッジのみで支持され、中央に異方性弾性材料が2層、
その上下に等方弾性材料層の計4層で構成されています。
周辺温度はシェルの内側、外側ともに上昇します。
この温度荷重を
かけることで、主に表面の対流によってシェルの温度と温度勾配は徐々に上がり、
熱膨張が起こります。
その後、外部温度は初期状態まで戻り、シェルもまた初期の温度状態まで冷やされます。
この例は
単純なシェル形状ですが、上の動画と下の図で示されているように非線形の高い応答を示します。
積層シェル要素は一様に膨張しようとしますが、塑性変形はもちろん、座屈によっても変形パターンは変化します。
座屈は、シェルの中間面の温度が約140℃にあがった時に起こります。
また反対の塑性変形は、徐荷中に起こります。
シェルのポイントAにおける、荷重-たわみ曲線を図.1に、初期の温度状態に戻った時のシェルの上面の
有効塑性ひずみを図2に示します。
図1. シェルのポイントAにおける荷重-たわみ曲線
図2. シェル温度が初期状態まで戻ったあとのシェル上面における有効塑性ひずみ
単純な
モデルの解は学術文献より得られます。このモデルは4層全て異方性弾性材料で構成され、
構造物のすべての場所で温度が規定され、また形状は上のモデルとはわずかに異なります(リファレンスをご覧下さい)。
与えられた温度が上がるにつれて、弾性の積層シェルに、上の解析例と
同様の座屈挙動が起こります。
リファレンスに記載された解とADINAの解を比較すると、図3に示すように、よく一致しているのが
わかります。
図3. リファレンスとADINAの解の比較
これらの
解析によって、シェル構造における熱‐構造連成解析をADINAは非常に効果的に計算できることがわかります。
キー
ワード :
熱‐構造連成解析、積層シェル、座屈、塑性変形、熱‐応力連成
Reference
- N. N. Huang and T. R. Tauchert, "Large
deflections of laminated
cylindrical and doubly-curved panels under thermal loading", Computers
and Structures, Vol. 41, No. 2, pp. 303-312, (1991).
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