流体流れと
構造の応答が完全連成した問題は数多くあります。
このような問題の多くは、ADINAのarbitrary-Lagrangian-Eulerian定式化を用いて、
非常に効果的に解くことができますが、中には構造が大変形を起こし、
流体メッシュがひどくゆがんでしまうものもあります。
実際、メッシュのゆがみがあまりにひどいと、メッシュを修正したり、適正化を繰り返さないと
計算を続けることができなくなります。
ADINAは、
プログラムが持つ全ての構造計算の機能と共に複雑な流体とFSI問題を計算するための
特殊な汎用計算機能を提供します。
非圧縮(わずかな圧縮性も含みます)流れ、あるいは高圧縮(低速圧縮性も含みます)流れを
考慮することができます。
FSIでは構造が複雑に変形し、また流体の流れの影響を強く受けることがあります。
反対に、流体の流れもまた構造の変形に強く影響されます。(
流体-構造連成(FSI)機能をご覧下さい。)
FSI解析機能の汎用性と解析の精度をさらに高めるため、
ADINA8.6では、適正な品質のメッシュを使用して
構造の大変形にも対応できるように、CFDメッシュの適正化と修正の機能を追加しました。
ADINAのこの技術は、CFD計算に段階的に働き、流体域全体にわたって適切な要素サイズを用いるため、
様々な流れの領域でメッシュを適正化(つまり、粗密の調整)を行います。
ADINAの
この機能は一般的なフリーメッシュに効果をもつため、多くのプリプロセッサー、特にNastranから
書き出したメッシュにも適用できます。(3D CFD、FSI解析におけるNastranモデルの使用については、
ADINAプリポスト処理
のオプション、
3D
CFDとFSI解析におけるNASTRANモデル使用を参照して下さい)
図に示すように、今回は下で説明しているような問題を紹介しま
す。
上の動画(EnSightから得られたものです)は流れを示しています。
図1. ブレードを通過する定常流れのFSI問題
計算を
正確な解を得るためには、ブレード付近ではかなり細かいCFDメッシュが必要になりますが、
ブレードから離れた領域には粗いメッシュが使用できます。
最初に生成したCFD要素は34,041のテトラ要素です。6回のメッシュ適正化を経て、
最終的に547,741要素まで増加します。ブレードは196のMITC4大変形シェル要素です。
この問題では
対称条件を使用することで、モデルサイズを削減することができますが、
今回は全体形状が使用されています。
図2.に初期の(粗い)メッシュ、図3.に適正化により細かくなったメッシュを示します。
図4.は長手方向の切断面の速度場と圧力を示し、
図5.には流入口より1.5センチの垂直切断面の速度場を示しています。
全ての結果は最終の細かいメッシュから計算されたものです。粗いメッシュのままでは得られなかった
二次流れがよく表されていることがわかります。
図2. ブレード周りの流れの解析に使用したCFDメッシュ:初期のメッシュ
図3. ブレード周りの流れの解析に使用したCFDメッシュ:最終なメッシュ
垂直、水平方向の断面のメッシュ
図4. 最終の
メッシュを使用した結果
:長手方向の断面の圧力と速度場
図5. 最終のメッシュを使用した結果
:流入口から1.5cmの垂直断面の速度場
ADINAの
新しい解析機能によって、さらに複雑なCFD、FSI問題を解くことが出来るようになりました。
特に、様々なメッシュジェネレータで生成された複雑な3D形状のフリーメッシュを使用できます。
Nastran入力データが使用可能なこともまた重要な機能です。
キー
ワード :
CFD、FSI、流体-構造相互作用、大変形、アダプティブメッシュ、
強結合のFSI、arbitrary-Lagrangian-Eulerian、ALE
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