ADINA開発における重要なゴールの一つは、
ユーザー個々の、あるいは業界固有のニーズに応え、ルーチン実行のためのオープンかつフレキシブルな
環境を提供することです。 2005年
11/15のADINAニュースでは、ADINA Structure、ADINA Thermal、ADINA CFDでユーザーが
プログラムできる機能の概要を紹介しました。
今回は、
ユーザーコードのADINA Structure材料モデルに注目します。いくつかのユーザーコード材料モデルを
下にリストします。これはユーザー固有のモデル作成に役立つよう
ADINAインストレーションCDに格納されているモデル例です。
- 粘塑性
- 等方硬化のフォンミーゼス塑性
- 粘弾性とクリープ(ゴム材料、コンクリート)
- 混合硬化のRamberg-Osgood
- ピエゾ弾性(ピエゾアクチュエーター、センサー)
- 多孔質弾性(土質、生体組織)
- Ogden(ゴム状材料)
- Mooney-Rivlin(ゴム状材料)
もちろん、
標準でADINAの材料ライブラリ中に用意されているものもあります。
その他の
ユーザーコードの材料モデルの例として、以下に
非線形等方弾性材料の利用について紹介します。
この材料は、一軸の応力‐ひずみ実験データが使えるときに特に有用です。
荷重を加えた時と除いた時とで同じカーブをたどります。
そのため永久的な非弾性ひずみは残りませんが、引っ張りと圧縮で異なる応力‐ひずみの挙動を含むことはできます。
また引っ張り、あるいは圧縮のカットオフをモデル化できます。
図1をご覧下さ
い。コンクリートの一軸応力‐ひずみデータよりモデル化しています。
モデル化にあたって、コンクリートの非線形の基本的な挙動は捉えていますが、
亀裂や圧壊による永久的な剛性損失は含まれていません。
通常の解析と同じように鉄筋を含むことができます。
図1に示してい
るのは、単純支持された四角形断面の梁です。
側面に負荷された圧力は線形に変化します。適切な対称境界条件を与え、梁の半分だけをモデル化しています。
コンクリートの梁は鉄筋のプリテンションによって補強され、それにより梁の断面が初期状態で圧縮を受けます。
上の動画は、外
力の変化に対する、要素1、2(図1をご覧下さい)の有効応力の変化です。
有効応力は従来通り定義されています(リファレンスをご覧下さい)が、符号は平均応力によって決定されています。
鉄筋のプリテンションによって、初期状態の2つの要素の応力はともに圧縮ですが、
荷重が上がるにつれて要素2が引っ張りに変化し、要素1は圧縮のままです。
図1、モデルのジオメトリ、境界条件、荷重の概要と、使用した一軸応力‐ひずみカーブ
この例は
ADINAのユーザーコード材料モデルオプションを通して設定できる単純な材料ですが、多くの事例でADINAをフレキシブルに活用できることが
示されています。
キー
ワード
非線形弾性材料モデル、ユーザーコード材料モデル、コンクリート、鉄筋、ADINA、非線形有限要素
Reference
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