陰 的-陽的を切り換える動解析

2014.6.15 Seamless Implicit-Explicit Dynamic Analysis

陰 的-陽的を切り換える動解析

ADINAは、解析が静的であるか、陰的動解析であるか、陽的動解析であるか、あるいは周波数解析であるかに関係なくすべての解析タイプで信頼性の高い同じ要素定式化を用いています。このことにより、直接的に信頼性を保ちつつ異なる解析タイプに切り替えることができます。

本紹介では、ADINAが再計算オプションを用いることなく、任意の時点の同じ計 算の中で陰的解析から陽的計算へ切り替えが可能であることを紹介します。もし、陰的解析が収束できなかった場合に自動的に陽的解析に切り替えることもできます。

解析者は、シミュレーションのさまざまな部分で各解析タイプの強みを生かして 陰的時間積分と陽的時間積分を自由に切り替えたいと考えるものです。この切り替えは、陰的解法と陽的解法に典型的に用いている要素の異なる定式化などのために他の市販プログラムでは 難しいに違いありません。ADINAでは、切り替えが自由に可能です。

切り替えの解析を実証するのに、図1に示す回転するタイヤの問題を計算してみます。この解析では、路面をリジッド要素でモデル化し、タイヤをソリッド要素でモデル化します。摩擦接触は、路面とタイヤ間で考慮します。

図1:タイヤ-路面のモデル
図2:タイヤモデル。リムは剛性リンク

まず、タイヤは内面に圧力を与えて膨らませます。次に、タイヤをリムの中心にトルクをかけて加速させます。計算には、Bathe陰的時間積分を用います。

ふくらましたタイヤ
タイヤが転がり始める。陰的時間積分が用いられている。

解析は、タイヤが段差に当たる直前に陽的時間積分に切り換えます。この部分の 計算で用いる陽的時間積分は、釣合反復することなく単に逐次積分で計算が進められます。 ADINAは、陽的積分が安定する時間ステップサイズに自動的に減少させます。

図3:衝突する際に、陽的時間積分を用いる。

タイヤが段差を乗り越えると、解析は再び陰的時間積分に切り換えます。この切り換えは、ユーザが任意の回数で指定できます。もし、陰的動解析が収束に失敗した場合にも自動的に実行することができます。

タイヤの衝突とその後の段差の乗り越え
段差の乗り越え後のバウンド

ADINAの陰的-陽的解析の切り替え機能は、シミュレーションのさまざまな部分で異なる時間積分スキームの利点を活用できる強力な方法になります。この機能は、ロバスト性や信頼性に優れ、固体および構造の効率的な解析のために役立つこと は明白です。

キーワード

解析切り換え、陰的解析、陽的解析、Bathe法、タイヤ、接触、収束困難