ADINAを用いた部分構造モード合成法
2013.3.30 Component Mode Synthesis using ADINA
動的縮退方法、つまり、部分構造モード合成スキームがADINA*の動解析の機能に含まれています。 このスキームは非常に大きく複雑な構造(文献[1]を参照)の固有値解析にとっては自然で効率的な方法です。 また、マルチボディシステムプログラムと有限要素解析プログラムの利用を接続することをこの方法は可能にします。 AVL EXCITEとADINAが一つの例です。
ここで、部分構造モード合成法の利用、特にADINAの動解析機能の中のCraig- Bamptonスキーム をいくつかの例でお見せしていきます。
その基本的な計算方法はCraig-Bamptonの変換行列をおこなうことです。 参考文献[2]を参照ください。
で、それから計算すると、
ただし、とは縮退された剛性と質量マトリックスです。 これらの式は、 Batheサブスペース 反復法の中で一回の反復計算で処理されます。
は静的な拘束モードと固定された接続振動モードからなります。 接続、言いかえれば結合自由度は拘束モードと振動モードの’最良の 組み合わせ’ を与えるのにユーザーによって選択されるものです。 もちろん、の中の値との中のベクトルは、一般に事実上一番低い周波数と有限要素モデルのモード形に対する近似にすぎず、 その誤差は拘束モードと固定された接続振動モードの選び方に依存します。 しかし経験上、良い結果は参考文献[1,2]の中の多くのシミュレーションで得ることができます。
また、、、、はAVL EXCITEと他のマルチボディシステムプログラムの使用のために書きだすことができます。
最初の事例では、以前解析したプロペラの翼モデルを使用します。 9つのみの境界自由度(図1参照)を静的な拘束モードを計算するのに選択し、21 個のみ固定した 接続モードが用いられただけですが、最小の部分構造モード合成周波数である 649.6Hzは、 実際の649.5Hzに非常に近い値になっています。
二つ目の事例では、図2で示すように振り子の固有値解析を考えます。 拘束モードに対してわずか3つの境界自由度しか選ばれず(図3を参照ください)、7つの固定された境界面のモードしか使っていません。 図4では、実際の一番低い周波数と部分構造モード合成法を用いた周波数を比較しています。 2つの結果は非常によく一致しています。 モデルの正確な周波数は、簡単に上の(4)式で得られたベクトルをサブスペース反復を 計測することで単純にADINAを用いて計算したものです。
最後の3つめの事例では、すでに以前のショーケースで検討したより大規模な有限要素モデルでその方法を使います。 図5を参照ください。 図6では、6つの拘束モードと4つの固定接続振動モードで部分構造モード合成法を使って計算した一番低い周波数を比較しています。 2つの結果は非常によく一致しています。
部分構造モード合成法は非常に大規模なシステムの解析において強力な道具になることができます。 しかしすでに言及したように、得られた振動数とモード形の正確さは変換行列で用いるベクトルに依存します。
一方で、式(1)から(4)は最初の一回のサブスペース反復であり、非常に大きな有限要素 モデルの正確な周波数とモード形状を求めるために、解析者がそのように 選択するのであれば、ADINAではこの反復を継続することが可能です。(これには、おそらく、 ADINA DMP計算機能の利用が必要) 近々の報告にこの方法を用いた結果を紹介することに なるでしょう。
参照
- Bathe, K.J., Finite Element Procedures, Cambridge, MA: Klaus-Jürgen Bathe, 2006.
- Craig, R. R. Jr. and Bampton, M.C.C., "Coupling of Substructures for Dynamic Analyses", AIAA, Vol. 6, No. 7, July 1968, pp. 1313-1319.
キーワード
部分構造モード合成法、Craig-Bampton法、マルチボディシステム、Batheのサブスペース反復法、拘束モード、振動モード