陰的時間積分-うまくいかなくなる事
2011.12.15 Implicit Time Integration ? What Can Go Wrong
陰的時間積分?うまくいかなくなる事
以前のニュースでprevious Brief、 流体-構造相互作用問題のとき、流体に非物理的な圧力と同時に、 ニューマーク法を使ったときの構造の応答で接触ガタが現れることを示しました。 本文では、二つの問題を示し、これらの問題を解決する二つの時間積分法の利点を評価します。
最初の問題の計算では、MGI COUTIERから与えられた歯車の動的応答を検証しました。 図1に問題の概要を示します。上側の歯車が2000rad/sの一定の角速度で回転しており、 下側の歯車は上側の歯車との接触によって回転します。目的は、5x10-5秒の 時間ステップで0.5秒間の歯車の応答を計算することでした。
図1 歯車の図(左)とそれに対応する有限要素モデル(右)
二つの異なる陰的時間積分スキーム:α=0.25、δ=0.5(いわゆる台形則)の ニューマーク法とADINA[1]で与えられるBathe法 を考慮しました。歯の 接触は剛接触(コンプライアンスなし)と仮定し、接触面も摩擦なしとしました。 歯車の大回転に対応するために大変形の定式を使いました。モデルには 如何なる物理的減衰も用いていません。上の動画はBathe法を使って計算した 歯車の変位です。(もちろん応答は視覚的にゆっくりにしています。)
図1に示してある節点561におけるy変位の時刻暦を図2に表します。 Bathe法は10000ステップを計算し続ける中、ニューマーク法は222ステップの後に発散 します。ここでは、両方法によるデータとして最初の部分の応答結果を示します。 両方法ともy変位の時刻暦は、Bathe法が普通に計算し続けている中、ニューマーク法は数値ノイズ が発生し発散することを除けば、とてもよく一致しています。
(a)
(b)
図2 節点561の変位履歴:(a)ニューマーク法と(b)Bathe法
図3と4は、二つの方法で計算された節点561のy速度とy加速度の履歴です。 見ればわかるように、ニューマーク法を使ったときは全時刻にわたって速度、 加速度ともにエラーが生じており、そのエラーは叙々に増加していきます。 これが、この問題にニューマーク法を用いると発散してしまう主な理由です。 歯車の速度と加速度のエラーは歯が毎回接触するときの非物理的な大きな衝撃力 によるものです。その結果、接触領域の要素に非物理的な変形となおいっそうの つぶれを過酷に受けることになります。
図3は、ニューマーク法を用いたときの大きな数値ノイズと速度の最終的なふれです。 図4は、ニューマーク法の加速度の大きな振動とBathe法を用いたときよりも2桁大きな加速に なってしまっている事実は注目に値します。
(a)
(b)
図3 節点561の速度履歴:(a)ニューマーク法と(b) Bathe法
(a)
(b)
図4 節点561の加速度履歴:(a)ニューマーク法と(b) Bathe法
二つ目の問題の計算は、Onsala Ingenjo"rsbyra* から与えられました。 音響体の波の伝播です。図5にモデルの概要を示します。剛体の壁をもつ 長い管には流体が満たされ、一端で急激に流束が生じます。問題をニューマーク法(台形則) とBathe法の二つを用いて計算しました。流体は、(ADINAの亜音速 のポテンシャル理論ベース流体を用いた) 非線形の音響流体とみなしました。
図5 管の図(大きさは考えない)
流体は3次元8節点ポテンシャル理論ベース要素で表し、応答は0.1秒間を1000ステップで 計算しました。形状と境界条件から、これは1次元の波動問題となります。 音響体にはエネルギーの消散はなく境界は剛なので、波が管の端で繰り返し反射 する入力した圧力パターンと同じ波が見られることを予測できます。
図6は流体モデルと二つの時間積分スキームを用いた管の中間での圧力履歴です。
下の動画はBathe法を用いたときの圧力コンタを示しています。
図6 ニューマーク法とBathe法を用いた管の中間の圧力履歴
ニューマーク法は応答計算でかなりの数値エラーが導入されてしまう一方でBathe法 は良好な結果を与えることは興味深いところです。
以前のニュースprevious Brief と文献と本文で与えられた例題は幅広い問題にBathe法を用いる 利点を示しています。この方法は安定に導くばかりでなく、台形則が失敗する ときでも正確に計算します。実際、ニューマーク法を使ってこのようなエラーが 現れたとき非線形解析の収束難をしばしば克服します。
Keywords:
・K. J. Bathe, "Conserving energy and momentum in nonlinear dynamics:
A simple implicit time integration scheme", Computers and Structures,
85:437-445, 2007
Keywords:
陰的時間積分、ニューマーク法、Bathe法、接触、音響、波の伝播、
ポテンシャルベース流体、亜音速流体、数値ノイズ、台形則、
直接時間積分、安定性、精度、2次精度