静解析と動解析におけるシェルの大ひずみ
2010.4.15 Large Strains of Shells in Statics & Dynamics
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Strains of Shells in Statics & Dynamics
静解析と動解析におけるシェルの大ひずみ
大ひずみの状況をシミュレートしなくてはならない、シェル要素の解析が多く存在します。
例えば、自動車の圧壊解析や、衝突解析です。
その上で大きな問題領域は、メタルフォーミング工程とゴムシールの解析です。
ADINA8.7では、このような解析のための新しい3次元シェル要素が用意されています。
これには、3節点要素と4節点要素があり、それぞれMITC3とMITC4の3次元シェル要素です。
これらの要素は、各節点の自由度が5か6自由度を持つ、従来のMITC要素から作成されておりますが、以下の特性が自由度を扱う時に追加されます。
1.要素厚みに対し大ひずみを考慮した、厚み方向に二つのひずみ自由度
2.面内方向のゆがみを考慮した、ゆがみ自由度。
これは、もともと直線的でしたが、考慮されると、曲線的に変形します。
1.は、シェルの厚みに対する一定で線形的なひずみ分布を、要素に考慮します。
2.の2つの特別なゆがみ自由度(3つ回転自由度がある場合には、3つのゆがみ自由度)は、2次曲線的な変位で、ゆがみを考慮します。
図1を参照してくだい。このように変形補間の観点から言えば、3次元シェル要素は自由度が加えられ、まるで3次元ソリッド要素のように考えることができます。
(a) 通常の5自由度シェル
(b) 追加された自由度
図1 3および4節点シェル要素の自由度
しかしながら、3次元シェル要素の新しい自由度は、通常のシェルの自由度に加えて、必要となったときだけ考慮されます。
プリ/ポスト処理は従来の場合と変わりありません。また、小さな板厚の3次元ソリッド要素を用いたときのような、悪い状態にはなりません。
もちろん、いつものMITC要素のように、せん断ロッキングを防ぐためにひずみの混合補間を用いています。加えて塑性やゴム解析の、大ひずみにおける体積ロッキングも、圧力自由度によるu/p法を用いて防いでいます。
このように要素は、シェル板厚に対し、ゼロ応力の仮定を使わずに、3次元材料モデルを表現します。
要素は静解析、陰的/陽的な動解析で使用可能です。
重要な点は、低減積分を用いることなくアワーグラスモードを制御し、定式化の中で人工的な安定因子を用いることもなく、要素が静解析と陰的動解析で使用できます。
したがって、マススケーリングによる人工的な陽的動解析を、物理現象が静解析やゆっくりとした動きの動解析の場合に用いる必要はありません。
これにより、物理現象は適切にモデル化されます。
3次元シェル要素は、通常のシェル解析にも用いることができます。しかしながら、この新しい要素の本領は、大ひずみのシェル要素の状態で絶対的に必要となる、3次元効果の解析に発揮されます。
図2は、曲げによって大ひずみとなるゴムブロックの解析です。
ブロックは、中立面に節点を持つ3次元シェル要素でモデル化しています。
もちろん、初期の中立面は、上面と下面の中間にあります。
ブロックは曲げ回転を受け、圧縮された材料は厚くなり、引っ張られた材料は、薄くなります。
したがって、下の動画のように、中立面はブロックの引っ張り側に近いところに移動します。
3次元シェルは、このような問題の解析解と比較しても、とても良好な結果が得られます。
(a) 問題の概要図
(b) ゴムブロックの変形動画
(c) 解析解と計算結果の比較
図2 曲げによって大ひずみとなるゴムブロックの解析
図3は重い重量の衝撃を受ける鋼管を表しています。
大ひずみで塑性材料モデルを用いています。
この問題は、陰的動解析と陽的動解析の両方で計算しています。二つ結果には良好な一致が見られます。
図3(c)の曲線下内の面積は、つぶれる鋼管に吸収されたエネルギーに相当します。
解析(陰解法と陽解法)により吸収されたエネルギーと、重い重量の初期運動エネルギーの差異は2%以内と見られます。
(a) 問題の概要図
(b) 断面がつぶれる鋼管の動画(1/2断面モデル)
(c) 陰的動解析(Implicit)と陽的動解析(Explicit)の結果の比較
図3 鋼管の衝突解析
新しい3次元シェル要素は、非常に強力であり、重要な方面でADINAのシェル解析を強化します。
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